はじめに
業務でのファイル共有において、「PPAP」という言葉を聞いたことはありますか?
PPAPは、パスワード付きZIPファイルを使ってデータを送信する手法を指し、かつてはセキュリティ対策として広く利用されてきました。しかし、近年ではその危険性が指摘されるようになり、より安全な代替手段が求められています。
この記事では、PPAPの仕組みや問題点をわかりやすく解説するとともに、企業や個人が導入すべき代替手段について紹介します。これを機に、安全なファイル共有の方法を検討してみましょう。
このような方へおすすめの記事です
・PPAPについて、聞いたことはあるけど概要を知らない方
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PPAPとは?
PPAPとは、業務上でパスワード付きZIPファイルを使ってデータを送信する手法を指す俗称です。この手法は、以下の4つのステップを示した頭文字から名付けられています。
- P:Password付きZIPファイルを送る
メールでパスワード保護されたZIPファイルを送信します。 - P:Passwordを送る
その後、別のメールでZIPファイルを開くためのパスワードを送信します。 - A:暗号化
ファイルが暗号化されていることを指します。 - P:プロトコル
一連の手順として確立されたファイル共有プロトコルを意味します。
PPAPは、パスワードで保護されたファイルをメールで送ることで、機密情報を安全に共有できると考えられていました。しかし、実際にはいくつかの欠陥があり、現在では非推奨の方法とされています。
PPAPの危険性
PPAPは一見安全そうに見えますが、以下のようなリスクや問題点が存在します。
パスワードが同じ経路で送られる
PPAPでは、ZIPファイルとそのパスワードを別々のメールで送信しますが、どちらも同じメール経路を通るため、攻撃者に両方のメールが傍受されるリスクがあります。
つまり、攻撃者がファイルを添付したメールを盗み出せた時点で、パスワードのメールも一緒に盗み出せている可能性が非常に高く、暗号化する意味がない状態であると言えます。
ZIP形式の脆弱性
ZIPファイルの暗号化には、一般的に「ZIP 2.0」という古い規格が使われることが多いです。この規格は非常に脆弱で、専門的なツールを使えば短時間で解読されてしまう可能性があります。
手間がかかる
PPAPでは、パスワード付きZIPファイルを作成し、さらに別途メールでパスワードを送る必要があるため、手間がかかります。また、受信者側にも、パスワードを入力してファイルを解凍する手間が生じます。
どちらも、外出先などからスマートフォンで確認する際などには非常に不便です。
情報漏洩のリスクが増える
万が一、メール送信先を誤ると、ZIPファイルとパスワードが第三者に渡り、機密情報が漏洩する危険性があります。
PPAPの代替手段
PPAPの危険性が広く知られるようになり、より安全で効率的なファイル共有手段が注目されています。以下は、PPAPに代わる主な方法です。
オンラインストレージサービス
Google Drive、Dropbox、OneDriveなどのクラウドストレージサービスは、安全なファイル共有のための強力なツールです。以下のような利点があります。
- ファイルへのアクセス権限を細かく設定可能(閲覧のみ、編集可能など)。
- リンクにパスワードを設定できる。
- アクセスログを確認できるため、誰がアクセスしたかを追跡可能。
セキュアなファイル転送ツール
専用のセキュアファイル転送ツールを使用することで、安全なデータ共有が可能です。以下のツールが広く使われています。
- FileZilla(FTP/SFTP対応)
- WeTransfer Pro(暗号化オプション付き)
- Send Anywhere(ファイル共有に特化したアプリ)
エンドツーエンドのメール暗号化
S/MIMEなどのエンドツーエンド暗号化を提供する仕組みやメールサービスを使えば、送信内容が第三者に傍受されるリスクを低減できます。以下は代表的なサービスです。
- ProtonMail
- Tuta Mail
おわりに
いかがでしたか?PPAP(パスワード付きZIPファイルの送付)はかつてのセキュリティ対策として利用されていましたが、その危険性が明らかになり、現在では非推奨となっています。この記事で紹介した代替手段を活用することで、より安全かつ効率的にファイルを共有できるようになります。
今後、業務や日常生活でファイル共有を行う際には、セキュリティと利便性を両立した方法を選び、情報漏洩のリスクを最小限に抑えましょう。
この機会に、古い手法に代わる新しいセキュリティ対策を検討してみてはいかがでしょうか?